会話型AIへの10年の挑戦|株式会社miiboの成り立ち

会話型AIへの10年の挑戦|株式会社miiboの成り立ち
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株式会社miiboは「AI JoyBoost! AIで、人を社会を幸せにする」というビジョンのもと、会話型AIの民主化を目指すスタートアップです。創業者の功刀雅士氏が10年以上にわたり個人で研究開発を続けてきた会話型AI技術が、2023年4月の法人化により新たな形で社会に提供されることになりました。

小学生時代のプログラミング体験から始まり、大学での研究、個人開発での試行錯誤を経て法人化に至るまでの道のり。そして、ノーコードで誰でも簡単に会話型AIを構築できるプラットフォーム「miibo」の誕生。技術者だけでなく老若男女すべての人がAIを活用できる世界の実現に向けた、株式会社miiboの成り立ちをご紹介します。

目次

プログラミング少年が会話型AIに魅せられるまで

功刀氏とプログラミングの出会いは小学生時代にさかのぼります。プログラミングが好きだった父親からVisual Basicを教わり、様々なプログラムを作り始めました。幼い頃からアニメなどで見かける会話型AIに興味を持っていた功刀氏は、その興味を持ち続けたまま成長していきます。

大学では自然言語処理系の研究に没頭し、ドライブスルーや司書を模した対話システムの試作に取り組みました。大学在学中の2012年頃、Apple Siriが登場します。スマートフォンという身近な環境にAIパートナーを存在させられることに衝撃を受けた功刀氏は、自ら音声対話アプリ開発への挑戦を決意しました。

こうして生まれたのがAndroid向けの音声対話アプリ「おしゃべりアシスタント」です。「ドロイドちゃん」というキャラクターがユーザーと雑談してくれるこのアプリは大きな反響を呼び、会話型AIの可能性を確信させる結果となりました。

会話型AI民主化への道のり

「おしゃべりアシスタント」の成功体験から、功刀氏は「誰でも簡単に会話型AIを作れるようにしたい」という思いを抱きます。特定の技術者だけでなく、すべての人が会話型AIの恩恵を受けられる世界を実現したい。その思いが次なる挑戦へとつながっていきました。

次に開発したのは雑談対話API「Chaplus」です。様々な対話システムに「雑談」機能を組み込めるこのサービスには、「Chat(雑談)+ Plus」という意味が込められていました。しかし実装事例を観察するうちに、対話システムには単なる機能だけでなく「役割」が重要だという気づきを得ます。

タスク指向型(目的達成のための対話)と非タスク指向型(雑談中心の対話)を融合させ、より自然で実用的な会話を実現する。この発想から、2020年にmiiboがリリースされました。当初は「mebo」という名前で、「me(自分自身)をbot(AI化)する」という意味が込められていました。

サラリーマンエンジニアから起業家への転身

2016年に大学を卒業した功刀氏は、ヤフー株式会社でソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートしました。その後も様々な企業でソフトウェア開発に従事しながら、個人での会話型AI開発を継続していきます。サラリーマンエンジニアとして働く傍ら、2020年にmiiboをローンチしたのです。

GPT-3の登場は、功刀氏にとって「革命」と呼べる出来事でした。確率的に文章を生成するだけで人間のような賢さを示すAIの出現は、会話型AIの可能性を大きく広げました。そしてChatGPTの登場により、世界中で会話型AIへの注目が急速に高まります。

miiboがGPT-3.5に対応したタイミングで、技術系メディア「Gigazine」に記事が掲載されました。これをきっかけに様々な企業から問い合わせが殺到します。需要の高まりと将来性への確信から、功刀氏は2023年4月7日に株式会社miiboを設立し、退路を断ってmiiboに専念することを決断しました。

強力な支援者との出会い

法人化後、miiboは6,000万円の資金調達に成功しました。個人投資家の村島健介氏とディー・エヌ・エックス・ベンチャーズが投資を決定し、THE GUILD代表でnoteのCXOも務める深津貴之氏がアドバイザー(暫定CSO)に就任しました。

深津氏は生成AI領域における創作や事業にいち早く取り組み、プロンプトエンジニアリングの研究にも精力的に取り組んできた人物です。「10年分の泥臭い積み重ねがないとmiiboが掲げる『Connect Everything』は実現できない」と、功刀氏の長年の努力を高く評価しました。

村島氏は三菱商事での新規事業開発・投資業務を経て、モルガン・スタンレーで数々のIT企業のIPOやM&Aを手がけてきました。「会話型AIの進化系を作れる稀有な創業者」として功刀氏への期待を寄せ、戦略アドバイザーとして参画しています。

miiboが実現する会話型AIの世界

株式会社miiboが提供するノーコード会話型AI構築サービス「miibo」は、開発者だけでなく老若男女誰もがAIを活用できる環境を実現します。問い合わせチャットボット、社内制度回答ヘルプデスク、実在する人物のAI化など、様々なユースケースで活用されています。

クラシックギタリストの村治奏一氏が自身の「AI村治奏一」を作成した事例は、まさに功刀氏が思い描いていた「自分の拡張」の実現例です。物理的に届かない場所にいる人々とも対話でき、その情報を本人に還元できる。こうした分身AIの活用は、会話型AIの新たな可能性を示しています。

miiboの特徴は、複数のLLMを用途に応じて使い分けられること、様々なプラットフォームで展開できること、そして企業固有の知識を学習させられることです。これらの機能により、技術的なハードルを大幅に下げ、誰もが高度な会話型AIを活用できる世界を実現しています。

AI JoyBoostという理念

株式会社miiboは「AI JoyBoost! AIで、人を社会を幸せにする」という理念を掲げています。多くの人が「やらなければならないこと」に追われ、「やりたいこと」に充分な時間を費やせない。この現状を会話型AIの力で変革することを目指しています。

AIが人の仕事を奪うという負のイメージに対し、miiboはAIが人や社会の喜びや幸せを生むことができると信じています。会話型AIが「やらなければならないこと」を効率化することで、人々が「やりたいこと」に向き合い、もっと活躍できる社会を実現する。それにより社会全体の生産性と幸福度が向上する未来を描いています。

10年以上の個人開発から始まり、2023年の法人化を経て新たなステージに入った株式会社miibo。会話型AIの民主化という大きな目標に向かって、これからも挑戦を続けていきます。

よくあるご質問

Q

miiboという名前の由来は何ですか?

miiboは当初「mebo」という名前で、「me(自分自身)をbot(AI化)する」という意味が込められていました。「いつか自分自身でさえも、簡単にAI化できるような環境を創りたい」という創業者の思いから名付けられました。誰もが自分のAIを作れるプラットフォームを目指すという理念が、この名前に込められています。

Q

なぜ功刀氏は10年以上も個人開発を続けたのですか?

功刀氏は学生時代から会話型AIのポテンシャルに魅せられ、「誰でも簡単に会話型AIを作れるようにしたい」という強い思いを持ち続けていました。サラリーマンエンジニアとして働きながらも、自分の好きなことに没頭する時間の大切さを理解していたからこそ、長期にわたり情熱を持って開発を継続できたのです。その結果、技術の蓄積と経験が現在のmiiboの強みとなっています。

Q

miiboはプログラミング知識がない人でも使えますか?

はい、使えます。miiboは「ノーコード」で会話型AIを構築できるプラットフォームです。開発者だけでなく「老若男女誰もがAIを活用できる」ことを目指して設計されており、プログラミング知識がなくても直感的に操作できるインターフェースを提供しています。技術的なハードルを大幅に下げることで、AIの民主化を実現しています。

Q

miiboはどのような用途で使われていますか?

miiboは様々な用途で活用されています。主な例として、企業の問い合わせチャットボット、社内制度回答ヘルプデスク、実在する人物のAI化(分身AI)、AIVTuber、コミュニケーションハブなどがあります。クラシックギタリストの村治奏一氏が「AI村治奏一」を作成し、ファンとのコミュニケーションに活用している事例は、創業者が思い描いていた「自分の拡張」の実現例として注目されています。

Q

他のAIサービスとmiiboの違いは何ですか?

miiboには3つの大きな特徴があります。第一に「LLMフラット」で、OpenAIのGPTだけでなく複数のLLMを用途に応じて使い分けられます。第二に「マルチプラットフォーム対応」で、LINEやSlackなど様々なチャネルで同じAIを展開できます。第三に「データストア機能」で、企業固有の知識やノウハウをAIに学習させることができます。これらにより、中立的な立場で最適な組み合わせを提供できる「繋げる存在」としてのポジションを確立しています。

Q

「AI JoyBoost」とはどういう意味ですか?

「AI JoyBoost」は株式会社miiboの理念で、「AIで、人を社会を幸せにする」という意味です。多くの人が「やらなければならないこと」に追われて「やりたいこと」に時間を費やせない現状を、会話型AIの力で変革することを目指しています。AIが効率化を担うことで、人々が本当にやりたいことに向き合い、社会全体の生産性と幸福度を向上させる。AIは人の仕事を奪うのではなく、人や社会の喜びや幸せを生むことができるという信念を表現した言葉です。